2024//04/10 WED 19:30-21:30

長谷川サダオ解体新書「SADAO.HASEGAWA 1945-1999」

〜ゲイエロティック・サイケな幻視宇宙

●出演:田亀源五郎、宇川直宏、成山明光(成山画廊)

長谷川サダオは1945年8月15日、日本の終戦記念日に東海地方に生まれた。「玉音放送」。そう、昭和天皇がラジオを通じ「終戦の詔」を読み上げ、国民に対して戦争に負けたことを告げたその日、長谷川は生誕した。そして1999年11月20日、タイのバンコクで客死するまで、1970年代後半のデビューより数え、30年の長きに渡り「薔薇族」「さぶ」「アドン」「ムルム」「サムソン」などのゲイ雑誌で作品を発表し続けた。享年54歳。 現在、これら全作品を管理する成山画廊の成山明光は、ミレニアムを迎えたその年、静岡の長谷川と名乗る男性から電話があり、面会を求められたという。電話の主は長谷川サダオの親族であった。バンコクより遺骨を引き取って来た氏は、その後初めて東京の住居空間に入った。そこには性器を露にしている男性の絵が大量にあり、驚いた家族はそれら全てを整理し、机の中を見ると三島由紀夫のポートレイトを描いた石と共に「作品は総て成山画廊の管理とする。」というメモがあった。
長谷川が死の直前に描いた8点の男根崇拝にまつわる遺作「リンガ」は、タイで信仰されている数々の神々に扮した細密な男性像であり、旅先のバンコクでは、サイケデリック寺院ワット・パークナムを体験したに違いないビビッドな崇高さに満ちている。この世界観は80年代から長谷川が温めて来たゲイ・エロティック・サイケデリアの成就であると捉えたいが、その"悟り"と"死"がイコールで結ばれていたのかどうかは、作家不在の現在は知る由もない。
そんな長谷川サダオの展覧会「春」が5月18日まで成山画廊で、また4月30日までTOGA AOYAMA STOREで『長谷川サダオ 70s』が開催中である。これらの展覧会を記念して、また、昨年刊行された画集「SADAO.HASEGAWA 1945-1999」の出版を記念して、DOMMUNEでは「長谷川サダオ解体新書」をライヴストリーミングする。登壇は、漫画家であり現代におけるゲイ・エロティック・アートの牽引者でもある田亀源五郎と、成山明光とは35年来の友人であるDOMMUNE総裁、宇川直宏、そして番組後半に成山明光が登壇する。長谷川サダオの真価はこの番組を起点に見極められる筈だ!!!!!

■長谷川サダオ

1945年、東海地方に生まれ、独学で絵を書き始める。
1973年には、当時、流行の発信地であった渋谷西武百貨店「Be-in」にて『長谷川サダオの錬金術−1973年のための冥想』展を開催。挿絵を寄稿した雑誌をはじめ、ペインティング、コラージュ、ドローイング、人形など、幅広いジャンルの作品を発表した。
1990年、イギリスG.M.P社より画集『SADAO. HASEGAWA』を刊行。世界中から展覧会の依頼を受けながらも、「作品を国外に出したくない」という考えからオファーを断り、インドネシア、タイなど、アジア諸国を放浪した。
1996年、オリエンタルなエロティックを表現したドローイング集『楽園幻視』をコチスタジオより発表。
1999年、タイ・バンコクで客死。生前のメモを発見した遺族からの依頼で、2000年に成山画廊での展覧会『リンガ』が開かれる。
2023年、成山画廊にて展覧会『冬』を開催し、展示に合わせて画集『SADAO. HASEGAWA 1945-1999』を刊行。
現在は二期目となる『春』を開催中(2024年5月18日まで)。

■田亀源五郎

1964年、神奈川県生まれ。ゲイ・エロティック・アーティスト。1982年「小説June」にマンガ掲載(別名義)。1984年から85年にかけて「さぶ」「アドン」「薔薇族」にイラスト掲載(別名義)。1986年「小説さぶ」で小説デビュー。同年、「さぶ」でマンガデビュー。以降、同誌を中心にマンガ(連載を含む)、イラストレーション、小説を発表。1994年「バディ」で連載。同年「薔薇族」で連載。1995年「ジーメン」創刊。企画段階から参加。創刊号から62号までの表紙イラストレーションの他、連載マンガ、各種イラストレーション、雑文を発表(2006年離脱)。同時に、日本の過去のゲイ・エロティック・アートの研究、およびその再評価活動を開始。また、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツなどのゲイ・メディアでも活動開始。2015年『弟の夫』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。2018年7月、第30回アイズナー賞において、『弟の夫(My Brother's Husband)』が最優秀アジア作品(Best U.S. Edition of International Material - Asia)」最優秀賞を受賞。

●宇川直宏

1968年香川県生まれ。現”在”美術家。映像作家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、大学教授など、1980年代末より、さまざまな領域で多岐にわたる活動を行なう。2001年『Buzz Club: News from Japan』(MoMA PS1・ニューヨーク)、『JAM: Tokyo-London』(Barbican Art Gallery・ロンドン)に参加して以来、国内外の多くの展覧会で作品を発表。2010年には、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」を個人で開局。記録的なビューワー数で国内外にて話題を呼び、2011年文化庁メディア芸術祭推薦作品に選出される。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの「現在美術作品」と位置づける。2016年アルスエレクトロニカ(オーストリア/リンツ)のトレインホールにステージ幅500Mのサテライトスタジオ「DOMMUNE LINZ!」を開設、2019年、瀬戸内国際芸術祭にてサテライトスタジオ「DOMMUNE SETOUCHI」を開設。どちらも大きな話題となったほか、これまでDOMMUNEは数々の現代美術の国際展に参加し、ロンドン、ドルトムント、ストックホルム、パリ、ムンバイ、リンツ、福島、山口、大阪、香川、金沢、秋田、札幌、佐渡島...と、全世界にサテライトスタジオをつくり、偏在(いま、ここ)と、遍在(いつでも、どこでも)の意味を同時に探求し続けている。10年間にわたって配信した番組は約5000番組/約10000時間/200テラを越え、トータル視聴者数1億人を超える。2019年、リニューアルした渋谷PARCO 9Fにスタジオを移転。「SUPER DOMMUNE」に進化し、5G以降の最前衛テクノロジーと共に未来を見据えたUPDATEを図る。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2023年、オリジナルチューニングの生成AIを開発し、AI時代の創作において一体作家は作品のどこに存在しているのか?を世に問うた練馬区立美術館での個展 「宇川直宏展|FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE」が話題となった。

●成山画廊

1997年、コレクション展、象徴主義の写真家Wilhelm von Gloedenで開廊。
以降、科学、医学、人類学を主題とした作品を取り扱い、新しい価値観を問うている。
丹念な取材で対象の内面をも描き出す諏訪敦、一見ユニークだが痛烈な皮肉を秘めたCosima von Boninのほか、彫刻家・池島康輔、画家・興梠優護、写真家・岡部桃、グラフィティライター・WANTOなど日本の若手アーティストが所属。
またシュールレアリストのPierre MolinierやHans Bellmer、Cecil Beaton、矢頭保、明治期の医学写真、Conan Doyleの旧蔵品である心霊研究資料などをコレクションしている。
住所:東京都千代田区九段南2-2-8 松岡九段ビル205 / 電話 03-3264-4871 / 開廊時間 13:00~19:00 / 休廊日 水・日・祝
http://www.gallery-naruyama.com

PROGRAM INFO
ENTRANCE ¥2500(超エクスクルーシヴ33人限定スタジオ観覧チケット!スタジオに直接おこしください!19:00-の番組をご覧の皆様は、後半21:00- の番組もそのまま追加料金なく地続きで観覧可能です。)
PLACE 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
15-1 Udagawa-Cho Shibuya-ku Tokyo 150-0042|Shibuya PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
SUPER DOMMUNE FLOOR GUIDE  MAP
  ■ ご来場者はカメラに映る可能性がごさいますので、ご了承のうえご参加ください。
■ スタジオには、クロークやロッカーございません。手荷物は少なめでご来場のうえ、ご自身での管理をお願いします。
■ ドリンク類はスタジオ内でお買い求めいただけます。お飲み物の持ち込みはご遠慮ください。
<新型 コロナウイルス、インフルエンザA(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型等の感染症予防および拡散防止対策について>